2001年3月、食肉加工工場で働いていたアーカンソー州
在住の22歳の男性従業員が、洗浄液を用いてオーブン
グリルの洗浄作業を行っていた。
この洗浄液は約170リットルの容量をもつステンレス
製の高圧タンクに入っており、タンクにはスプレーの
ノズルのついた丈夫なゴムホースがとりつけられていた。
洗浄作業中、この従業員が洗浄液タンクのホースを引っ
ぱろうとして、誤ってホースを床に落としてしまったが、
そのはずみでノズルに取り付けられていた噴射スイッチが
オンになり、大量の洗浄液が顔面にかかってしまった。
従業員は直ちに病院に運ばれたが、この事故により、
両目を失明した。
この従業員は、問題の洗浄液噴射装置のメーカーを相手取り、
損害賠償を求めてアーカンソー州地裁に提訴した。訴えの中
で原告は、
○ホースを落とした際に噴射スイッチがオンになってしまった
点で、当該洗浄液噴射装置には不相当な危険が存在し、設計上
の欠陥が認められる。
○洗浄液噴射装置には、使用者に対し洗浄中はゴーグルを着用
するようとの警告がなされていない。また洗浄液そのものの
危険性についての警告も不十分である。
などと主張し、填補的損害賠償と懲罰的損害賠償を合せて、
490万ドルの損害賠償請求を行った。
これに対し被告は、
○本件洗浄液噴射装置は、過去25年間、現状の設計で用いられて
いるが、今回と同様の事故報告を受けたことはこれまでに一度もない。
○たとえ事故が原告の主張する状況下で起こったとしても、洗浄
液がノズルから原告の顔面に向けてまっすぐに噴射されることは
ありえない。
○今回の事故の発生以前に、スプレーのノズルは原告の勤務先に
よって改良が加えられており、その際、ゴーグルの使用に関する
メーカー側の警告が削除されている。
○洗浄液の警告表示は連邦規則に従った、相当かつ適切なものである。
などと反論し、かつ、ノズルのスイッチはホースを落とす以前から
オンになっていたという旨の、原告の同僚による目撃証言を提出した。
その後、両者の主張を踏まえた陪審評議が行われたが、その結果
被告の主張が認められて、陪審は原告敗訴の評決を下した。陪審評議
に要した時間は1時間弱と極めて短いものであった。
ここがポイント
本件において、原告は設計上の欠陥及び指示警告上の欠陥の2点を
主張していましたが、前提となる事故事実について、被告メーカー
側が真実を究明したことが勝訴につながったものといえ、好ディ
フェンス事例であると評価できます。
一般にPL訴訟が提起された場合、被告メーカーとしては、原告の
主張に対し、多面的な角度から反論・反証を検討することが大切と
なります。この場合、可能な限り事故発生に関する事実や事故原因等
の手前の段階でディフェンスすることが望ましいといえます。その上で、
自社製品の欠陥の不存在や自己以外の第三者の過失の存在などといった
予備的主張についてもしっかりと固めることが肝要です。
全国47都道府県、企業向け損害保険相談取り扱い件数16,235件(平成30年)
労災・賠償保険の年間平均相談受付件数、400件超
損害保険事故処理件数年間平均90件超
現在、インターネット販売による企業向け損害保険相談にて、多くの取り扱い件数を誇る。
大手損害保険会社・営業・事故処理業務等、広く従事。
外資系大手生命保険会社にて、生命保険集中研修。
専門課程取得ライフコンサルタント認定(9900389340)
損害保険特級(一般)資格取得
変額保険資格
証券2級外務員資格・特級損害調査資格取得
厚生労働省ファイナンシャルプランナー技能士認定(F20210644108号)
全国MVPタイトルを2種目で獲得。
主席にて保険会社退社後、
有限会社東京リスクマネジメント設立
AFP資格取得、特定非営利活動法人日本ファイナンシャルプランナーズ協会加盟(No.39422473)
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