サンディエゴに本拠を置くA社は、台所用品等の輸入販売業を
営んでいたが、同社が一般家庭用として輸入販売したジューサー
について、使用中に部品が外れる等の苦情が1998年の初め頃より
相次いで同社に寄せられるようになった。A社は本件について
1998年11月に米国消費者製品安全委員会(CPSC)に報告を行ったが、
その時点で同社には、人身被害に関するクレームが22件寄せられ、うち
6件は針で縫ったり手術を要する等の重傷事故であった。なお、
CPSCへの報告後、1999年6月に、A社は問題のジューサー40000台を
対象にリコールを実施した。
連邦政府は、A社を相手取り、CPSCへの速やかな事故報告を怠った
ことにつき、消費者製品安全法違反があったとして、罰金の支払いを
求めてカリフォルニア州連邦地裁に提訴した。
この訴訟において裁判所は「消費者製品安全法は、消費生活製品の
製造販売を営む事業者に対し、消費者保護の趣旨より、危険な製品の
存在について当局に十分かつ迅速な報告を行うことを義務付けている」
と述べ、「企業としては、当局への報告について積極的な姿勢で対応
することがとりわけ求められる」との見解を示した。
さらに、「製品が不合理に危険であるか否かの判断は合理的な専門家
ではなく合理的な一般人を基準とすべきである」とした上で、「被告
A社に寄せられた事故情報については、合理的な一般人であれば、問
題のジューサーが不合理に危険であると認識するのに十分である」と
述べ、CPSCへの報告を怠ったことについて被告の法令違反を認定した。
本判決を受け、CPSCは「我々が長年かけて企業に対し説明し続けたこ
とを裁判所も認めてくれたことについて、大変心強く感じている」と
コメントしている
ここがポイント
消費者製品安全法第15条では、企業は、①自社製品が法令等で定め
る安全基準を満たしていない場合、または②消費者に大きな危害を加
える可能性のある欠陥が製品に存在している場合、CPSCへ報告を行う
ことが義務づけられており、これに違反した場合、CPSCは当該企業に
罰金を課すことができるとされています。
本件訴訟では、問題のジューサーの欠陥が上記②の要件に該当するか
どうかが争われたものであると推測されますが、本来であれば、この
種のクレームが数件報告された段階で、メーカーとしては当局への報
告とリコールの検討を行うべきであるといえ、その意味において、本
事案では、被告メーカーとしては法令違反の誹りは免れ得ないと思わ
れます。この点につき、裁判所が「当局に対する報告は積極的に行う
べきであること」及び「製品が不合理に危険であるか否かの判断は合
理的な一般人を基準とすべきであること」と説示している点が、リコ
ール対策における本質を表したものと捉えることができます。
企業としては、速やかなリコール実施可否の判断につなげるべく、日
頃より自社製品または類似製品のクレーム情報を収集し、通常のクレ
ーム発現形態やクレーム内容からみて異常が認められる場合は、直ち
に詳細分析を行う等の、一連の情報収集・分析スキームを構築してお
くことが大切であるといえます。また、本判決でも触れられていると
おり、危険性の評価については合理的な一般人を基準とすべきである
点に留意する必要があります。
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