1995年、ルイジアナ州在住の男性が、オートバイで高速道路を
時速約90kmで走行中、運転を誤って1983年製の商用トラック
に衝突した。
事故の際、男性の左足がトラックの後部バンパーにぶつかり、
結果的に膝下部分の切断手術を余儀なくされた。
この男性は、トラックのメーカーを相手取り、損害賠償を求めて
ルイジアナ州連邦地裁に提訴した。訴えの中で原告は、
・トラックのバンパーが車体から突き出ており、バンパーと車体の
間に隙間ができていること
・バンパーの両先端部が湾曲して尖っていること
から、バンパーがあたかも大きなホックとなって原告の足を突き
刺したものであり、当該バンパーには設計上の欠陥が認められる、
と主張した。
これに対し被告メーカーは、機械エンジニア1名、生体力学及び事故
再現を専門とするエンジニア1名の計2名の専門家証人の証言を
踏まえ、本件トラックのバンパー部分には欠陥は存在しないと反論した。
一審において陪審は被告メーカー勝訴の評決を言い渡したが、
原告はこれを不服として、控訴した。
控訴審において原告は、「被告メーカー側の証人である機械エンジニア
は、当該バンパーの危険性の問題に精通しておらず、もう1名の被告
側証人についても、事故と負傷の因果関係に関する事実認定の
プロセスを誤っている」と述べ、証人としての適格性並びに証言内容の
妥当性を否定した。
控訴裁判所は、機械エンジニアの証言について、「バンパーの一般的な
目的、バンパーのテスト方法、被告メーカーの設計に基づくバンパーと車体の
間の隙間についての見解は、陪審審理の参考となるものである」と
述べ、証人としての適格性を肯定した。またもう1人の証言内容に
ついても、「当該証人は、警察調書、現場写真、原告の診察カルテ、
医学文献などに基づいて事故の再現を行っている。原告が主張する
ような、原告の足のX線写真を調査しなかったことや、事故現場その
ものを調べなかったことについては、本件再現調査の信憑性に何ら
影響を与えるものではない。」と述べ、証言内容の妥当性を認定し、
原告の訴えを斥けた。
ここがポイント
本件では、原告の主張に対し、①欠陥の不存在、②バンパーの形状
と損害拡大との間の因果関係の不存在の2点で対抗する方針のもと、
前者については機械エンジニア1名、後者については事故再現を専門と
するエンジニア1名の計2名の専門家を起用していることがうかがわれます。
PL訴訟が提起された場合、被告メーカーとしては、まずは原告の主張
内容を踏まえ、多角的な観点から検討し、ディフェンス方針を立てます。
本件でいえば、バンパーそのものの欠陥の有無という観点のみならず、
バンパーの形状が原告の損害を拡大させたのかどうかという観点も
押さえる必要があります。
その上で、原告の主張に対する具体的な反論内容を組み立て、各々
の反論内容ごとに、これを裏付けるためにどのような専門家証言が
必要となるのかを検討することになります。このように被告側としては、
専門家起用の検討に至るステップを誤らないよう、留意する必要があります。
全国47都道府県、企業向け損害保険相談取り扱い件数16,235件(平成30年)
労災・賠償保険の年間平均相談受付件数、400件超
損害保険事故処理件数年間平均90件超
現在、インターネット販売による企業向け損害保険相談にて、多くの取り扱い件数を誇る。
大手損害保険会社・営業・事故処理業務等、広く従事。
外資系大手生命保険会社にて、生命保険集中研修。
専門課程取得ライフコンサルタント認定(9900389340)
損害保険特級(一般)資格取得
変額保険資格
証券2級外務員資格・特級損害調査資格取得
厚生労働省ファイナンシャルプランナー技能士認定(F20210644108号)
全国MVPタイトルを2種目で獲得。
主席にて保険会社退社後、
有限会社東京リスクマネジメント設立
AFP資格取得、特定非営利活動法人日本ファイナンシャルプランナーズ協会加盟(No.39422473)
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