1990年2月、ビデオテープメーカーの出荷部門に所属していた
イリノイ州在住の男性が、立って運転するタイプのフォーク
リフトを用いて倉庫内で出荷作業を行っていた。ギアをバック
に入れてフォークリフトを後進させていたこの男性が、左後方
の柱に近づきすぎたことに気づき、追突を避けようとして、
フォークリフトを前進させようと、あわててギアを切り替えた。
そのときフォークリフトが勢いよく動き、そのはずみで男性の
身体が後方に流れ、操縦席の外側に滑り出た左足が柱とフォーク
リフトの間に挟まれてしまった。問題のフォークリフトの操縦席
は前方と左右はパネルで囲まれているものの、後方部分については、
運転者が乗り降りをするためにパネルは取り付けられていなかった。
事故の結果、男性は左足に重傷を負い、後遺症が残ってしまった。
この男性は、本件フォークリフトのメーカーを相手取り、損害
賠償を求めてイリノイ州連邦地裁に提訴した。訴えの中で原告は、
操縦席後部の開いていたスペースにドアがあれば、足がトラック
の外に滑り落ちずにすんだはずであり、当該フォークリフトには
設計上の欠陥があると主張した。この点につき原告は、機械エンジ
ニアと生体力学エンジニアの2人の専門家証人を立てた。両人とも
後部の空いたスペースにドアを取り付けるという代替設計により、
原告は負傷しなくてすんだはずであると証言した。しかしながら、
一審ではこの専門家証言は採用されず、原告は敗訴した。原告は
これを不服として控訴した。
控訴審において裁判所は、「原告側の2人の専門家は、操縦席に
後部ドアのあるタイプの設計が実在していることを証明しておらず、
また後部ドアのあるタイプのフォークリフトが経済的にも適してい
るかどうか、後部ドアがないタイプと比べてどの程度安全なのかに
ついても検証していない。」と述べた。
その上で裁判所は、「これらの証明や検証を行ったことが、専門家
証言を採用するための絶対条件ではない。しかしながら、一審での
証言内容は一般人にとっても明らかな論理であり、検証作業自体も
容易であると考えられる中で、これらの検証を経ていない単なる
個人的な意見や経験に、依拠しているにすぎない結論は不十分である」
と判示し、一審を支持し原告の主張を斥けた。
ここがポイント
設計上の欠陥が争点となった事案ですが、本件では単に原告側の専門
家証言の内容が不十分であるとの理由で原告が敗訴となったにすぎない
と捉えることもできます。もし原告側が代替設計が物理的・経済的にも
容易であることや、代替設計が具現化された同業他社製品の存在などを
具体的に証明したとすれば、被告側が敗訴に追い込まれた可能性も否定
できません。
企業としては、自社製品の安全性確保の検討に際して、同業他社製品の
安全性レベルや当該製品の安全性に関する最新の技術情報等を広くリサーチ
するとともに、より安全性の高い代替設計が可能でありながらこれを採用
しない場合は、不採用とすることについての合理的な根拠を証拠として
記録に残しておくことが大切となります。
全国47都道府県、企業向け損害保険相談取り扱い件数16,235件(平成30年)
労災・賠償保険の年間平均相談受付件数、400件超
損害保険事故処理件数年間平均90件超
現在、インターネット販売による企業向け損害保険相談にて、多くの取り扱い件数を誇る。
大手損害保険会社・営業・事故処理業務等、広く従事。
外資系大手生命保険会社にて、生命保険集中研修。
専門課程取得ライフコンサルタント認定(9900389340)
損害保険特級(一般)資格取得
変額保険資格
証券2級外務員資格・特級損害調査資格取得
厚生労働省ファイナンシャルプランナー技能士認定(F20210644108号)
全国MVPタイトルを2種目で獲得。
主席にて保険会社退社後、
有限会社東京リスクマネジメント設立
AFP資格取得、特定非営利活動法人日本ファイナンシャルプランナーズ協会加盟(No.39422473)
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