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アンモニアタンクの欠陥を巡るPL訴訟で、被告メーカーが敗訴

アイオワ州在住の男性が、業務として、大量のアンモニアの入ったタンクをトレーラーで輸送中、
運転を誤ったためにトレーラーが横転した。そして横転直後に、アンモニアの入っていたタンク
が破裂して大量のアンモニアが流出し、男性は大量のアンモニアを吸引したことにより死亡した。
問題のタンクは1971年製のもので、鋼鉄製の2つの半円柱形シリンダーを溶接して製造
されたものであった。

この男性の遺族はこのタンクを製造したメーカーを相手取り、損害賠償を求めてアイオワ州
地裁に提訴した。一審において原告は、専門家証言を引用しつつ、当該タンクの溶接
作業が不十分であったことが破裂事故の原因であると主張した。これに対し被告側は、
・アイオワ州では、「製品が設計・製造・販売された当時において、当該製品がその当
時の最高水準(state of the art)に従っていることを被告側が証明した場合は、被告
には責任が及ばない」という趣旨の成文法が存在する。
・当該タンクは1971年当時の業界における技術水準に従って製造されたものであり、
このことから、自社には責任はない。などと反論した。

一審において裁判官は、「原告が問題点の存在を証明したとしても、被告メーカーが
当時の最高水準に従ったことを証明すれば抗弁として成り立ちうる。本件では原告
は単に被告メーカーにおける製造上の不備を指摘しているだけで、当時の最高水準
を踏まえた本質的な問題点を明らかにできていない」と説示し原告を敗訴させた。

原告はこれを不服としてアイオワ州高裁に控訴した。控訴審において被告メーカーは「た
とえ製造技法に問題があったとしても、タンクの設計コンセプトが業界における当時の技
術水準を満たしていれば、このことが抗弁として認められるべきである」と改めて反
論した。

控訴審の裁判官は、
・原告の指摘する製造技法に関する欠陥(タンク溶接技術の不備)について、業界慣
行に従うのみでは被告の抗弁とはならず、製造技法が当時の最高水準を満たした
ことをもって初めて抗弁として成り立ち得る。この点被告は、タンク製造時の溶接技術が、
合理的かつ経済的な観点から、当時の最高水準であったことを主張立証できていない。

・また当然のことながら、争点ではない設計コンセプト(2つの鋼鉄製半円柱形シリンダーを溶
接してタンクを形成する設計コンセプト)に関して、当時の最高水準を満たしたことを主張して
も、争点が製造技法である限り抗弁は成り立ち得ない。

と判示し、一審判決は技術水準の抗弁の適用に誤りがあったとして被告メーカーの主張
を斥け、審理を原審に差し戻した。

 ここがポイント
PLリスクの分野において、state of the artとは、「メーカーが製品を製造した当時、法令規格
類、業界水準、文献などによって公知になっている最高水準の科学技術」のことを指し
ます。被告メーカーが自社製品の欠陥の不存在を主張(製品安全に関し、製造当時の最
高の科学技術水準を満たしている)するために、PL訴訟等において、state of the artの
抗弁を用いるケースがあり、米国の多くの州においてもこの抗弁の適用が認められていま
す。これは、我が国PL法4条1号に定める「開発危険の抗弁」と同種の概念であるといえます。

 本事案では、このstate of the artの抗弁の適用の可否が大きな争点となりました
が、state of the artとは単なる業界慣行ではなく実現可能性を踏まえた最高水準の
技術を指すものであること、また、製造技術の問題に関しては設計コンセプトに関する
state of the artの抗弁が認められないとして、被告が敗訴に追い込まれた結果とな
りました。

 本事案が示すまでもありませんが、PL訴訟が提起された場合において、企業としては、
原告が主張する欠陥の種類(設計上の欠陥、製造上の欠陥、指示警告上の欠陥など)
に対峙した適切な抗弁や主張立証を行っていくことが大切です。

また、企業としては、安全性確保の検討にあたり、単に製造当時の規制・基準・慣行に
とらわれることなく、製造時における科学・技術の水準を踏まえ、自社製品が合理的に
とりうる最高の安全レベルに達しているかどうかを自ら厳しく検証することが必要です。

キャンピングカーのPL訴訟で原告敗訴の判決

1996年6月、キャンピングカーにトラックが追突し、居住部分
のソファに座っていた長男が車外に投げ出されて死亡したのは、
キャンピングカーに欠陥があったためとして、父親がメーカー
に対し1000万円の慰謝料を求めていた訴訟で、札幌地裁は父親
の請求を棄却する判決を下した。
 父親は、①車体の強度が弱い、②ソファにシートベルトが
ないという点を指摘し、通常の自動車レベルの安全対策がと
られていれば死亡しなかったと主張していたが、これに対し
判決は「壁が安全性基準に適合しないと認める証拠はない」
等として訴えを退けた。

 ここがポイント
 本件の場合、直接の事故の原因はキャンピングカーの安全
レベルではなく、トラックが追突したことであるため、基本的
にメーカーに責任が発生する可能性は低いといえます。
 ただし、過去にこのような事故が発生し、その原因がキャン
ピングカーの設計上の問題であると知っていた又は知りえたに
もかかわらず対策を怠っていた等の事情があれば、メーカーが
責任を負う可能性が高まります。このため、メーカーとしては、
直接の原因が他にある事故についても、自社製品に問題がなか
ったか検証しておくことが重要です。

欠陥製品に関するCPSCへの報告遅延を巡る行政訴訟で、被告企業が敗訴

サンディエゴに本拠を置くA社は、台所用品等の輸入販売業を
営んでいたが、同社が一般家庭用として輸入販売したジューサー
について、使用中に部品が外れる等の苦情が1998年の初め頃より
相次いで同社に寄せられるようになった。A社は本件について
1998年11月に米国消費者製品安全委員会(CPSC)に報告を行ったが、
その時点で同社には、人身被害に関するクレームが22件寄せられ、うち
6件は針で縫ったり手術を要する等の重傷事故であった。なお、
CPSCへの報告後、1999年6月に、A社は問題のジューサー40000台を
対象にリコールを実施した。

 連邦政府は、A社を相手取り、CPSCへの速やかな事故報告を怠った
ことにつき、消費者製品安全法違反があったとして、罰金の支払いを
求めてカリフォルニア州連邦地裁に提訴した。
 この訴訟において裁判所は「消費者製品安全法は、消費生活製品の
製造販売を営む事業者に対し、消費者保護の趣旨より、危険な製品の
存在について当局に十分かつ迅速な報告を行うことを義務付けている」
と述べ、「企業としては、当局への報告について積極的な姿勢で対応
することがとりわけ求められる」との見解を示した。
さらに、「製品が不合理に危険であるか否かの判断は合理的な専門家
ではなく合理的な一般人を基準とすべきである」とした上で、「被告
A社に寄せられた事故情報については、合理的な一般人であれば、問
題のジューサーが不合理に危険であると認識するのに十分である」と
述べ、CPSCへの報告を怠ったことについて被告の法令違反を認定した。

本判決を受け、CPSCは「我々が長年かけて企業に対し説明し続けたこ
とを裁判所も認めてくれたことについて、大変心強く感じている」と
コメントしている

 ここがポイント
消費者製品安全法第15条では、企業は、①自社製品が法令等で定め
る安全基準を満たしていない場合、または②消費者に大きな危害を加
える可能性のある欠陥が製品に存在している場合、CPSCへ報告を行う
ことが義務づけられており、これに違反した場合、CPSCは当該企業に
罰金を課すことができるとされています。
本件訴訟では、問題のジューサーの欠陥が上記②の要件に該当するか
どうかが争われたものであると推測されますが、本来であれば、この
種のクレームが数件報告された段階で、メーカーとしては当局への報
告とリコールの検討を行うべきであるといえ、その意味において、本
事案では、被告メーカーとしては法令違反の誹りは免れ得ないと思わ
れます。この点につき、裁判所が「当局に対する報告は積極的に行う
べきであること」及び「製品が不合理に危険であるか否かの判断は合
理的な一般人を基準とすべきであること」と説示している点が、リコ
ール対策における本質を表したものと捉えることができます。

企業としては、速やかなリコール実施可否の判断につなげるべく、日
頃より自社製品または類似製品のクレーム情報を収集し、通常のクレ
ーム発現形態やクレーム内容からみて異常が認められる場合は、直ち
に詳細分析を行う等の、一連の情報収集・分析スキームを構築してお
くことが大切であるといえます。また、本判決でも触れられていると
おり、危険性の評価については合理的な一般人を基準とすべきである
点に留意する必要があります。
 

アスベストによるPL訴訟で被告敗訴の評決が下される

2月8日、ニューヨーク州陪審は、2000年12月にアスベストによる
肺ガンで死亡した男性に対し、被告が5300万ドルの損害賠償責任
を負うと評決した。なお、懲罰的損害賠償は認めていない。
 死亡した男性は、1960年代から1970年代にかけて、ブレーキ工と
して防火材で覆われたブレーキを取り付ける作業に従事した4年間と、
その後沿岸警備隊に勤務しボイラー室で作業していた4年間、アス
ベストにさらされた。

 男性の未亡人が12企業を相手取り、損害賠償請求訴訟を起こしたが、
ブレーキ製造会社の承継会社を除いた各社は和解していた。
 陪審は当時のブレーキ会社の行動は無謀であり、アスベストの
危険性について他社と共謀の上、意図的に警告しないようにして
いたと判断した。ブレーキのライニングに含まれるアスベストが
肺ガンの原因となるかどうかが論争となったが死亡した男性は、
ブレーキのライニングにアスベストが使用されていることについ
て認識していた、死亡した男性は肺ガンになるほどアスベストに
さらされていなかった、等とする被告の反論は認められなかった。
 原告側代理人は、和解金による相殺を考慮しても、ブレーキ会社
は30%の責任があり、1000万ドル以上の損害賠償義務を負い、アス
ベストの被害者1名に対するものとしては、州の中で過去最高額の
評決だと述べている。
 これに対し、被告ブレーキ会社は自社の負担額は評決額の2.3%
にすぎず、約106万ドルにとどまると反論している。

ここがポイント
アスベストは、人体に与える危険性が1940年代頃から問題となり、
1970年代に使用が中止されましたが、それから数十年経った昨今に
おいて、当時アスベストを吸引した人々に健康被害が発生しています。
このため、アスベストに関するPL訴訟が増えており、昨年も高額の
賠償金の支払いを余儀なくされた結果、破産法の適用を申請する企業
がでています。また、現時点では健康被害が発現していない人の中にも、
将来に被害が発生する場合を恐れて訴訟を提起するケースもあるようです。
このように、製品流通後、長時間が経過して損害が発生する場合があるため、
メーカーとしては、製品開発時のみならず製品販売後も市場における不具合
情報をウォッチすることが大切です。
具体的には、①製品開発時点では製品の持つ危険性を認識できなかったと
反論するために、国内外での研究も含めた詳細な情報収集と安全性の検討
を行っておくこと、②その後製品についての危険性が指摘された場合に
速やかに市場から製品を回収することが必要です。

ベビーベッドを巡るPL訴訟で、被告メーカーが300万ドルを支払うなどとする和解が成立

持ち運びの可能な簡易型ベビーベッドに寝かされていた
幼児がベッドの柵に首をはさまれて窒息死した事故を巡
るPL訴訟で、昨年12月、原告の被告メーカーとの間で和解が
成立した。和解額は300万ドルで、子供用製品に関するPL
訴訟の和解事例の中でも大型案件の1つとされている。
1998年5月、イリノイ州在住の夫婦が1才6ヶ月の子供を託児
所に預けた。託児所の職員がこの子供をA社製造の簡易
型ベビーベッドに寝かせてその場を離れ、しばらくして戻
ってみると、子供が窒息死しているのが発見された。事
故当時、このベビーベッドが折り畳まれた状態となっており、
子供の首がベッドの柵にはさまれてしまったことが死亡
につながったものであった。

子供の両親は、問題のベビーベッドを製造したA社を相手
取り、損害賠償を求めてイリノイ州地裁に提訴した。訴えの
中で原告は、○問題のベビーベッドは、使用中に突然折り
畳まれてしまうことがあるという点で、設計上不相当に
危険なものであり、開発時における市場調査や製品テストも
不十分であった。
○今回以外にも過去10年間に同様の事故で6人の幼児が
死亡していることからも上記の点を裏付けるものである、
などと主張した。さらに当該ベビーベッドについては、
事故発生の5年前に、メーカーによってリコールが実施されてい
たことが裁判の過程で判明した。これは5年前当時、
死亡事故が3件相次いだ事態を重く見て実施されたもの
であったが、回収できたのは当時市場に出回っていた
約12,000台のうちの1/4にとどまるものであった。さら
に本件事故が社会的に知られるようになったことを受け、
被告が2回目のリコールを実施したものの、回収率はわずか
数%向上したにすぎなかった。
 
本訴訟については、提訴後に何度も和解による解決が
試みられたものの、原告側が和解内容を非公開とする
ことに強い難色を示し続けたため、陪審審理による決着
が図られることが確実視されていた。その後、陪審審理
に移行する直前になって、裁判官の勧告もあり、最終的
に和解内容を公開することを条件に両者が和解に応じる
こととなった。この結果、和解金額が約300万ドルである
ことが明らかとなったことに加え、原告が裁判手続の中
で被告メーカーから収集した証拠や証言記録なども公開され
ることになった。


 本件について原告側弁護士は、「我々の目的は被告
メーカーの恥ずべき行為を検証し、光を充てることにある。
我々が今回の訴訟で得た情報をもとに、子供用製品の安
全性がより一層高まることを望むものである」とコメントし
ている。


 ここがポイント
最終的に和解による解決が図られたものの、被告メーカーと
して和解内容を公開すべしとの原告側主張を受け入れて
いる点で、実質的に被告メーカーが敗訴したものと同視でき
る事案であると考えられます。
本ベビーベッドについては、折り畳んでの持ち運びが可能
であったことから利便性という点では有用であったかも
しれませんが、原告の主張内容通りに、ベビーベッドがひ
とりでに折り畳まれてしまうという問題点があったとす
れば、危険性が有用性を上回ることは明らかであるとい
えます。
このため、例えば、設計上折り畳み防止用ストッパーなどの
追加防護措置を講じた上で、ストッパーの使用に関する指示
警告を適切に行うなど、安全性確保のための様々な対策
を組み合わせながらリスクを低減させ、常に危険性が有用性
を上回っていないかどうかの観点から安全性の検証を行う
姿勢を保つことが大切です。
なお、今回の事故については、問題の製品が被告メーカーによ
るリコール対象製品であったことや、回収率の低さなどが原告
側から指摘されています。一般にリコールを実施する場合、製
品の流通経路やトレーサビリティのレベルなどを勘案しながら、回
収目標を決定しますが、回収率が目標を大幅に下回るよう
な場合には、通知方法(通知先、通知手段、通知回数・通
知期間)に問題がないかどうかを、市場調査等を通じて検
証の上、追加措置を講じることが必要です。

エアバッグに関するPL訴訟で、第2審が被告勝訴の1審判決を破棄する

1996年製トラックを運転中、車線に他の車が入って
きたため衝突を避けようとして、車が制御できなく
なり、ガードレールに激突した。この時に、トラック
の運転手席のエアバックは作動しなかったため、運転
者はハンドルに頭をぶつけ、負傷した。
 本件についてこの運転者は、エアバッグがマニュアル
に記載されている「明示の担保責任」を満たしておらず、
非合理的な危険があるとしてトラックを製造した自動車
メーカーを訴えた。

 1996年製の当該トラックのオーナーズマニュアルには、
以下のような一節があった。
「いつエアバッグは作動するか
 エアバッグは激しい正面あるいはほぼ正面からの衝突の
衝撃を緩和するために作動するように設計されている。
エアバッグは車のスピードがシステム上設定されている
反応レベルを超えた場合にのみ作動する。車が動いたり
変形しない壁にまっすぐぶつかった場合の反応レベルは
時速14マイルから18マイルになっている。しかし、車の
特殊なデザインによって反応レベルは変わることがあり、
この範囲以上あるいは以下にもなりうる。」

 これに対し、第1審のルイジアナ州東地区連邦地方裁判所は、
「明示の担保責任」に反しているとは認定できないとして、
原告の訴えを棄却した。原告は控訴した。

 本件について、第5巡回区控訴裁判所は、1月2日、ルイジ
アナ州の製造物責任法の「明確な規定」に従えば、マニュ
アルの記載は「明示の担保責任」をなしていると結論付け
られるとして、被告勝訴判決を破棄した。
 第1審は「今回の衝突において作動しなかったことについ
て、当初の設計に鑑みればエアバッグの機能に不適切な点は
ない」としていた。これに対し第5巡回区控訴裁判所は、
「エアバッグが設計通りの機能であるから担保責任を満たし
ていると結論づけたことに誤りがある」とした。その上で、
エアバッグが設計されたとおりに作動するかより、むしろエ
アバッグの性能が保証文言に合致しているかどうかに焦点を
置くべきであったとした。
 さらに、第5巡回区控訴裁判所は、「原告が提出した証拠
等から判断すると、合理的な陪審であれば、①原告は保証文
言を見てトラックを使用するようになったこと、②製品はそ
の保証内容を満たしていないこと、③保証内容が正しくなか
ったために、原告は負傷したことを認定しえた」と述べた。

(注)明示の担保責任(express warranty)
文言や言語で明確に表明された品質についての保証
のことをいう。アメリカ法では、契約条項に限らず、
売買の目的物についての説明や見本も取引の基礎の
一部をなすのであれば、明示の担保とされる。また、
物品に関する陳述や表示は、供給者と契約関係のな
い当事者がこれを信頼した場合、明示の担保と認定
される場合がある。

ここがポイント
第1審陪審が、エアバッグが開かなかったことについて、
設計した機能どおりであったことを重視して、被告勝訴
と判断したのに対し、第2審は開かなかったこと自体は
たとえ設計した機能通りであったとしても、マニュアル
に記載された作動条件を満たした状況で事故が起きてい
る以上、メーカーとしてはエアバッグの機能の如何に関
わらず、作動しなかったことに対し責任を負うと判断し
ています。
このように米国では明示の担保責任の理論に基づき損害
賠償請求されることが少なくありませんが、ディフェン
スに際しては、単に明示の担保責任を満たしているか否
かという観点からのみならず、本質的に要求される機能
を満たしているか、という観点からも十分に検証した上
で戦略を検討しておかなければなりません。

ベビーベッドを巡るPL訴訟で、被告メーカーが300万ドルを支払うなどとする和解が成立

持ち運びの可能な簡易型ベビーベッドに寝かされて
いた幼児がベッドの柵に首をはさまれて窒息死した
事故を巡るPL訴訟で、12月、原告の被告メーカーと
の間で和解が成立した。和解額は300万ドルで、子供
用製品に関するPL訴訟の和解事例の中でも大型案件
の1つとされている。
1998年5月、イリノイ州在住の夫婦が1才6ヶ月の子供を託
児所に預けた。託児所の職員がこの子供をA社製造
の簡易型ベビーベッドに寝かせてその場を離れ、しば
らくして戻ってみると、子供が窒息死しているのが
発見された。事故当時、このベビーベッドが折り畳ま
れた状態となっており、子供の首がベッドの柵には
さまれてしまったことが死亡につながったもので
あった。
子供の両親は、問題のベビーベッドを製造したA社を
相手取り、損害賠償を求めてイリノイ州地裁に提訴した。
訴えの中で原告は、○問題のベビーベッドは、使用中
に突然折り畳まれてしまうことがあるという点で、
設計上不相当に危険なものであり、開発時における
市場調査や製品テストも不十分であった。
○今回以外にも過去10年間に同様の事故で6人の幼児
が死亡していることからも上記の点を裏付けるもの
である、
などと主張した。さらに当該ベビーベッドについては、
事故発生の5年前に、メーカーによってリコールが実施されて
いたことが裁判の過程で判明した。これは5年前当時、
死亡事故が3件相次いだ事態を重く見て実施されたも
のであったが、回収できたのは当時市場に出回って
いた約12,000台のうちの1/4にとどまるものであった。
さらに本件事故が社会的に知られるようになったこと
を受け、被告が2回目のリコールを実施したものの、回収
率はわずか数%向上したにすぎなかった。
 
本訴訟については、提訴後に何度も和解による解決が
試みられたものの、原告側が和解内容を非公開とする
ことに強い難色を示し続けたため、陪審審理による決着
が図られることが確実視されていた。その後、陪審審理
に移行する直前になって、裁判官の勧告もあり、最終的
に和解内容を公開することを条件に両者が和解に応じる
こととなった。この結果、和解金額が約300万ドルである
ことが明らかとなったことに加え、原告が裁判手続の中
で被告メーカーから収集した証拠や証言記録なども公開され
ることになった。
 本件について原告側弁護士は、「我々の目的は被告
メーカーの恥ずべき行為を検証し、光を充てることにある。
我々が今回の訴訟で得た情報をもとに、子供用製品の
安全性がより一層高まることを望むものである」とコメント
している。

 ここがポイント
最終的に和解による解決が図られたものの、被告メーカーとし
て和解内容を公開すべしとの原告側主張を受け入れている
点で、実質的に被告メーカーが敗訴したものと同視できる事案
であると考えられます。
本ベビーベッドについては、折り畳んでの持ち運びが可能で
あったことから利便性という点では有用であったかもしれ
ませんが、原告の主張内容通りに、ベビーベッドがひとりで
に折り畳まれてしまうという問題点があったとすれば、危
険性が有用性を上回ることは明らかであるといえます。
このため、例えば、設計上折り畳み防止用ストッパーなどの追
加防護措置を講じた上で、ストッパーの使用に関する指示警告
を適切に行うなど、安全性確保のための様々な対策を組み
合わせながらリスクを低減させ、常に危険性が有用性を上回っ
ていないかどうかの観点から安全性の検証を行う姿勢を
保つことが大切です。
なお、今回の事故については、問題の製品が被告メーカーに
よるリコール対象製品であったことや、回収率の低さなどが
原告側から指摘されています。一般にリコールを実施する場合、
製品の流通経路やトレーサビリティのレベルなどを勘案しながら、
回収目標を決定しますが、回収率が目標を大幅に下回るよう
な場合には、通知方法(通知先、通知手段、通知回数・通知
期間)に問題がないかどうかを、市場調査等を通じて検証の上、
追加措置を講じることが必要です。

エアバッグに関するPL訴訟で、第2審が被告勝訴の1審判決を破棄する

1998年12月22日に、1996年製トラックを運転中、車線に
他の車が入ってきたため衝突を避けようとして、車が制
御できなくなり、ガードレールに激突した。この時に、
トラックの運転手席のエアバックは作動しなかったため、
運転者はハンドルに頭をぶつけ、負傷した。
 本件についてこの運転者は、エアバッグがマニュアル
に記載されている「明示の担保責任」を満たしておらず、
非合理的な危険があるとしてトラックを製造した自動車
メーカーを訴えた。

 1996年製の当該トラックのオーナーズマニュアルには、
以下のような一節があった。
「いつエアバッグは作動するか
 エアバッグは激しい正面あるいはほぼ正面からの衝突
の衝撃を緩和するために作動するように設計されている。
エアバッグは車のスピードがシステム上設定されている
反応レベルを超えた場合にのみ作動する。車が動いたり
変形しない壁にまっすぐぶつかった場合の反応レベルは
時速14マイルから18マイルになっている。しかし、車の
特殊なデザインによって反応レベルは変わることがあり、
この範囲以上あるいは以下にもなりうる。」

 これに対し、第1審のルイジアナ州東地区連邦地方裁判
所は、「明示の担保責任」に反しているとは認定できない
として、原告の訴えを棄却した。原告は控訴した。

 本件について、第5巡回区控訴裁判所は、1月2日、ルイ
ジアナ州の製造物責任法の「明確な規定」に従えば、マニ
ュアルの記載は「明示の担保責任」をなしていると結論付
けられるとして、被告勝訴判決を破棄した。
 第1審は「今回の衝突において作動しなかったことについ
て、当初の設計に鑑みればエアバッグの機能に不適切な点
はない」としていた。これに対し第5巡回区控訴裁判所は、
「エアバッグが設計通りの機能であるから担保責任を満た
していると結論づけたことに誤りがある」とした。その上
で、エアバッグが設計されたとおりに作動するかより、むし
ろエアバッグの性能が保証文言に合致しているかどうかに焦
点を置くべきであったとした。
 さらに、第5巡回区控訴裁判所は、「原告が提出した証拠等
から判断すると、合理的な陪審であれば、①原告は保証文言
を見てトラックを使用するようになったこと、②製品はその
保証内容を満たしていないこと、③保証内容が正しくなかっ
たために、原告は負傷したことを認定しえた」と述べた。

(注)明示の担保責任(express warranty)
文言や言語で明確に表明された品質についての保証のことを
いう。アメリカ法では、契約条項に限らず、売買の目的物に
ついての説明や見本も取引の基礎の一部をなすのであれば、
明示の担保とされる。また、物品に関する陳述や表示は、
供給者と契約関係のない当事者がこれを信頼した場合、
明示の担保と認定される場合がある。

 

ここがポイント
第1審陪審が、エアバッグが開かなかったことについて、
設計した機能どおりであったことを重視して、被告勝訴と
判断したのに対し、第2審は開かなかったこと自体はたと
え設計した機能通りであったとしても、マニュアルに記載
された作動条件を満たした状況で事故が起きている以上、
メーカーとしてはエアバッグの機能の如何に関わらず、作
動しなかったことに対し責任を負うと判断しています。
このように米国では明示の担保責任の理論に基づき損害賠
償請求されることが少なくありませんが、ディフェンスに
際しては、単に明示の担保責任を満たしているか否かとい
う観点からのみならず、本質的に要求される機能を満たし
ているか、という観点からも十分に検証した上で戦略を検
討しておかなければなりません。

CPSCが製品事故に関する被害統計を公表

消費者製品安全委員会(Consumer Product Safety
Commission:CPSC)はCPSC Annual Reportをリリースし、
製品事故に関する被害統計を公表した。
CPSCでは所管する製品を15のカテゴリーに分類し、各
カテゴリーごとに、製品事故に関連する死亡者数、負傷者数、
救急医療処置に要したコストを1年ごとに集計し、
統計を作成している(ただし、統計に表れた事故の
すべてが製品の欠陥に起因するものではない)。
統計結果は下表の通りであり、スポーツ用品・家具類が
上位を占めている。

 

カテゴリー

死亡者数(人)

負傷者数(人)

救急医療処置に要したコスト

1.育児用品

52

89,290

21億ドル

2.玩具

10

137,022

21億ドル

3.スポーツ用品

1,210

4,300,000

894億ドル

4.娯楽用品

16

120,091

23億ドル

5.身の回り品

238

465,350

78億ドル

6.家庭用収納用品

79

352,079

48億ドル

7.ガーデニング用品

331

265,739

59億ドル

8家庭用工作機器

121

352,358

71億ドル

9.家屋用メンテナンス用品

35

129,447

21億ドル

10.一般家庭用設備

54

145,601

30億ドル

11.冷暖房器具

135

133,262

26億ドル

12.台所用品

32

789,650

98億ドル

13.家具類

861

2,191,341

477億ドル

14.住宅建材

525

3,504,682

776億ドル

15.その他

68

239,861

53億ドル

合 計

3,767

13,215,773

2,726億ドル

 

 ここがポイント
我が国における製品事故情報統計の1つに、製品評価
技術基盤機構(経済産業省関連の独立行政法人)がと
りまとめている「事故情報収集制度報告書」があります。
ちなみに同報告書に掲載されている統計によれば、
製品の使用等に関連して人的被害(死亡・重傷・軽傷の合計)
が発生した事故件数は297件(1位が「燃焼器具」116件、
2位「身の回り品」74件の順)とされています。
PL対策を効果的に進めるためには、自社製品及び類似製品
に関する事故情報の収集分析が重要なポイントとなります。
この際、断片的な収集分析作業に陥ることのないよう、
日頃から複数の情報ソース(上記統計資料のほか、消費生活
年報の「危害・危険情報」、各種裁判外紛争処理機関の
発行する月次レポートなど)を確保する仕組みをつくり、
自社のクレーム情報と照らし合わせつつ、内容と傾向について、
定期的な検証・分析を行えるような体制を構築しておくこと
が得策です。

タイヤの警告上の欠陥を巡るPL訴訟で被告メーカーが勝訴

ミシガン州在住の男性が、勤務先であるタイヤ販売店で
小型トラックのタイヤの装着作業を行っていた。この男性
が装着したタイヤに空気を入れていたところ、タイヤが
突然破裂し、この衝撃で男性は右腕と右手に重傷を
負い、後遺障害が残ってしまった。その後の調べに
より、事故当時、本件トラックのタイヤのリムが16.5インチで
あったにもかかわらず、男性が誤って16インチのタイヤを
取り付けようとしたために、これが事故につながった
ことが明らかとなった。
 当該タイヤの設計・仕様については、別のタイヤメーカーである
B社の指示に従い、A社が製造したものであった。
また問題のタイヤには、「16インチのリムにしか装着しては
ならず、16.5インチのリムには装着してはならない」とい
う趣旨の警告表示がタイヤの外側に記載されていたが、
この警告表示の文言や表示位置についてもB社の指示
に従っていた。

 男性はA社を相手取り、損害賠償を求めてミシガン州
地裁に提訴した。訴えの中で原告は、○問題のタイヤの
警告表示は装着作業者にとって目立つものではなく、
また危険の種類や被害の大きさが知らされる内容と
はなっていない
 ○ある調査によれば、自動車整備業界の作業者は、
タイヤに貼付されている警告ラベルをほとんど読まない
という結果が出ているなどの理由から、警告表示が
不十分であると主張した。
 これに対し被告A社は、
 ○事故の原因はそもそも原告がタイヤの警告を無視した
ことにある
○警告表示は十分目立つものであり、表示の内容にも
問題はない
 ○原告の勤める会社及び原告は、本タイヤに関しては、
取扱いに慣れたユーザーであり、被告メーカーには警告義務はない
などと反論し、自社に責任はないと主張した。

裁判所は、
○原告はタイヤ装着作業の際、リムのサイズを確認することを
怠っている。また原告の雇用主は、原告に対してタイヤ装着
に必要な指導訓練を行わず、作業指導用のビデオやマニュアル
などを渡しておらず、ミシガン州の労働安全規則に違反している。
○警告表示はタイヤの外側に付されており、さらにタイヤの
接地面には「警告を読むように」という趣旨の赤いステッカー
が多数貼られていることから、作業者にとっては容易に
警告表示に注意を払うことが可能である。
 ○原告の勤務先は、タイヤ販売業を営んでいることから、
原告自身もタイヤの取扱に慣れたユーザーであるといえ、警告
表示の内容からみても、メーカーとして警告義務違反は認め
られない。と認定し、原告の主張を斥けた。

 ここがポイント
一般に、製品の使用者が熟練者や技能者などであるときは、
使用者自身が製品の危険や回避方法を熟知しているのが通常
であることから、メーカーが記載すべき警告内容は詳細でなくて
もよいとされています。この場合でも、企業としては、単に、
「被害者がタイヤ取扱いのプロフェッショナルであり、警告が一般消費者
を想定したレベルのものでなくてよいこと」だけを主張するの
みならず、「事故の原因が専ら原告の雇用主や原告自身の過失
に起因するものであったこと」を積極的に主張・立証することが、
ディフェンス戦略の観点からは得策です。
なお、本件では、問題のタイヤに関する設計仕様や警告表示をA社
に指示したB社にも責任追及が及ぶ可能性があります。このため、
予めA社/B社間にて有事における責任分担契約を交わし、両社
間における防御義務・協力義務などを定めておくことが有効で
あるといえます。

次の10件

更新履歴
  • アンモニアタンクの欠陥を巡るPL訴訟で、被告メーカーが敗訴
  • キャンピングカーのPL訴訟で原告敗訴の判決
  • 欠陥製品に関するCPSCへの報告遅延を巡る行政訴訟で、被告企業が敗訴
  • アスベストによるPL訴訟で被告敗訴の評決が下される
  • ベビーベッドを巡るPL訴訟で、被告メーカーが300万ドルを支払うなどとする和解が成立
海外PL保険請負人 大室順一郎
事業リスク請負人 大室順一郎

全国47都道府県、企業向け損害保険相談取り扱い件数16,235件(平成30年)
労災・賠償保険の年間平均相談受付件数、400件超
損害保険事故処理件数年間平均90件超

現在、インターネット販売による企業向け損害保険相談にて、多くの取り扱い件数を誇る。

大手損害保険会社・営業・事故処理業務等、広く従事。
外資系大手生命保険会社にて、生命保険集中研修。
専門課程取得ライフコンサルタント認定(9900389340)
損保大学課程専門コース資格取得
変額保険資格
証券2級外務員資格・特級損害調査資格取得
厚生労働省ファイナンシャルプランナー技能士認定(F20210644108号)
全国MVPタイトルを2種目で獲得。
主席にて保険会社退社後、
有限会社東京リスクマネジメント設立
AFP資格取得、特定非営利活動法人日本ファイナンシャルプランナーズ協会加盟(No.39422473)

損害保険の大量のトラブルを解決していくうちに、それぞれ職業により発生するトラブルはほとんど同じだとということに気づきました。

損害保険の保険金が出る・出ないでトラブルになるのもほぼ一緒。

いまはネットで私のような専門家からアドバイスを受けられる時代です。
もしあなたが海外PL保険でお悩みであれば、今すぐご連絡ください。
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経営者の為の情報誌、月刊ビジネスデータ11月号に紹介されました。

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